「今月21日までに歩けるようになりたいのですが…」とおっしゃるお客様がご来院されました。

期限付きとは何と性急な、と思いましたが、お話をお聞きすると真剣な事情が分かりました。

二十年来、山歩きが趣味で、全国各地の山を登っているそうです。今月21日はご本人が企画した登山で、数人の友人らをお連れするので「絶対にやめられない」とのことでした。

来院時の主訴は「右膝裏の内側が痛い。筋肉が張っている感じだ。右腰も痛い」。6月初めに所用で東京都内を１万５千歩ほど歩いたら、急に痛くなったとのことです。

すぐに整形外科でレントゲンを撮って診察を受けたら、「棘(とげ)が出ているが年齢の割にはいい」と言われ、塗り薬とサポーターの処方をしてもらったそうです。

しかし、それでもなかなか改善しないため、整体院に行ったそうです。そうしたら４回目の施術でぶり返しが起きたのか「痛くて歩けなくなった」と当院にいらっしゃいました。

当院で検査してみると、腰を反ると右膝が痛い。腰を左に回旋すると右膝が痛い。左右の股関節周りの腸腰筋や大腿筋膜張筋、お尻の中臀筋や梨状筋がすべて過緊張。X脚で外反母趾もありました。腰椎の４番目に右ずれもありました。

膝の内側や裏側が痛い場合は、太ももの内側の内転筋の筋力低下が疑われます。そこを踏まえつつ、お腹のインナーマッスルの腹横筋の筋力低下、膝下の腓骨筋と後脛骨筋、足指の拇指球筋、小趾球筋のバランスを見ました。

当院での検査の結果は、足指の筋力低下が主因でした。施術は検査に基づき、骨盤・骨格を調整した上、弱っている、いわゆるサボリ筋を鍛えていきました。

施術後、お客さまは痛みなくスタスタと歩けるようになりました。

当院では施術後、必ずセルフケアの体操をお伝えします。このお客様の場合、特に、膝下の腓骨筋と後脛骨筋、足指の拇指球筋と小趾球筋の筋力バランスをとるための体操を毎日行ってもらうことにしました。

「足指がこんなに弱っているなんて思ってもみませんでした」とおっしゃりながら、このお客さまが嬉しそうにお帰りになったのは言うまでもありません。