サイクリング自転車を買った末、乗りすぎて膝を痛めてしまった患者さんがいます。高校の自転車競技部の活躍を描いた「弱虫ペダル」という漫画に大いに刺激を受けたようで、登場人物の一人、箱根学園の真波山岳くんのように風を味方に付けて走りたいのだそうです。

しかし、痛めた膝は靭帯が緩んでしまい、曲げ伸ばしの度にポキポキ鳴ります。痛いのは膝の内側。お医者さんで診断されると変形性膝関節症と言われるのは間違いないかもしれない状態。当分、風を味方につけるどころか、自転車に乗ることさえ、しばらくお休みということになりました。

この患者の右膝をみると、下肢が外側、太ももが内側を向いており、膝のところでねじれているようです。また、膝の内側が痛いということなので、内転筋が弱っていると判断しました。

施術では膝、足首、股関節のそれぞれの関節調整をした上で、内転筋を鍛えました。しかし、それでも改善は芳しくなく、坐骨神経痛のようなお尻からふくらはぎにかけての痛みもあるということでした。そこで、腰の骨と膝の真裏もチェック、腰椎５番のずれと、足首の距骨と踵骨のずれもあることが分かりました。足首は20年ほど前に事故でひどい捻挫を経験していました。

この患者。実は私(氣仙英郎)です。62歳。気持ちは若いが、身体は確実に歳をとっているという訳です。でも、何歳になっても筋肉は鍛えられます。「目指せ真波君」ということで自らを励まし、セルフケアに地道に取り組んだ結果、ほぼ一カ月で痛みなく自転車に乗れる状態に復帰しました。

急な運動やストレッチ、スポーツで、それまで顕在化していなかった体のアンバランスが表面化することが少なくありません。その場合は無理せず、焦らず、ゆるりと時間をかけてリハビリ。そうすれば大丈夫、きっと回復します。