「左腰が痛い」と訴える50代のサーファーがご来院されました。

毎週土曜日に千葉県の九十九里浜でサーフィンをするのが何よりの楽しみだそうで、腰痛にも関らず、その日も夜明け前に家を出発して早朝からサーフィンを楽しんだそうです。

お話をお聞きすると、35年前にスノーボードで腰を痛めてからずっと、腰痛に悩まされているそうで、ほぼ３カ月置きに、しんどい状態になるそうです。その時も「首を前に出して、腰を屈めると激痛が起きます」とおっしゃっていました。

検査をすると、立った姿勢は右肩が下がって、右肩が前に出ている状態でした。立って腰を反ると痛く、右側屈でも左腰が痛いと言います。股関節は、左右とも外側に開きにくい内旋制限がありました。

うつ伏せで、腰まわりの筋肉を確認しますと左右の梨状筋と大腿筋膜張筋、腸脛靭帯が張っており、左右の仙腸関節にも圧痛がありました。

ここまで検査をした上で、仙腸関節が不安定で、腸腰筋、内側ハムの筋力低下が主な原因なのか、下肢（腓骨筋）と足指（小指球）の筋力低下がそもそもの問題なのかと仮説を立てました。

その仮説をもとに下半身の施術を一通りやり、最後に左側の下肢と足指の筋力UPの施術をやって終わりました。ベッドの上での寝返りも楽になったようでした。そして確認のために、鏡の前に立って、再度、腰を反る動きと右側屈をやっていただきました。

しかし、右側屈で左腰が痛いという症状は改善されませんでした。

これは仮説がちょっと間違っていたようです。股関節の可動域は下肢と足指で一番改善されたのですが…そこで、「内転筋でも股関節可動域の改善度が高かった」ので、一番弱いところは内転筋かもしれないと考えました。

次にやることは仮説→検証です。再度、内転筋を鍛え直しました。そして、今一度、腰の動きの確認をしましたところ、右側屈で起きる左腰の痛みはすっかり消えていました。

このお客様には、下半身のセルフケアの体操を一通りお伝えした上で、最後にもう一度、内転筋を鍛えるようアドバイスしました。

２回目以降は週１回ペースで一カ月通っていただきました。セルフケアの確認とぶり返しの予防のためです。来院時はいつも早朝サーフィンの後です。「もう腰痛とは縁を切りたい」とセルフケアは毎日欠かしません。そのおかげで、腰痛はもう再発しなくなったと喜んでいます。